Group Exhibition: DEPTH OF FLATNESS
@ THE blank GALLERY, Tokyo
平面絵画における空間表現は、13世紀以降に西洋で確立された遠近法と、陰影によって立体感や物質感を生み出す事で、二次元の画面に奥行きとリアリティを見る事が可能になりました。一方で、江戸時代の浮世絵などには西洋の遠近法を取り入れる試みが見られるものの、人物にも風景にも陰影はなく、平面的な表現を留めています。そこには、絵が持つ「二次元性」を特権のように固持し、リアリティよりも鑑賞者のイマジネーションに委ねる態度が見られると同時に、現代のアニメーションやグラフィックデザインにも受け継がれる「構図の重要性」を示唆しています。
今日ではデジタルツールの普及にも伴い、多くの事象が表層的に消費されがちな社会があります。本展、“DEPTH OF FLATNESS”では、平面絵画において、フラットな層の重なりによって画面構成する現代のアーティストに焦点を当て、空間や物質性、手法とプロセス、文脈や時間軸などの考察を試みます。抽象から具象、二次元アニメ、ストリートアートなど、異なるコンセプトやバックグラウンドを持ちながらも、「平面性」や「レイヤー」に対して意識的な思慮が見られる80年代~90年代生まれの6名のアーティストを紹介し、それぞれの視点と解釈を読み取ります。
The group exhibition focuses on the painters who construct the picture plane by using overlaps of flat layers, examining the use of space, materiality, methods, process, context, and time axis. Presenting six artists who were born in 80s-90s with variety of concepts and backgrounds, from representational and abstract, animation to street art.
会期:2018年9月22日(土)~10月8日(月・祝) Sept. 22 (fri) – Oct. 8 (mon)
オープニング:9月22日(土) 17時~20時 Opening reception: Sept. 22, 5-8pm
※初日は12時オープン、17時よりレセプションとなります。
営業時間
平日 weekdays 13:00-19:00 (木曜休廊 Closed Thursday)
土日祝 weekends 12:00-19:00
※19:00-20:00 アポイントメント制(営業日のみ)
19時以降にご来場の際は、当日の19時より前に電話またはメールでご一報下さい。
Tel: 03-6804-5150
Email: info@the-blank-gallery.com
ARTISTS
■藍嘉比沙耶 Saya Aokabi
世界にはレイヤーが存在する。
目に見えるものが全てのように感じてしまう。しかし自分が目に映る物だけを認識しているわけでない事を、同時に思い出す。
だまし絵のような壁紙にイラつく。そんな世界で満足されたら困る。
私の絵には見えないレイヤーがいくつも隠されている。目に映るレイヤーとあなたの想像上にあるレイヤー。木があり布があり絵の具がある。そこに定着する絵の具は微量な厚みだ。しかし重々しくそこに絵の具として、図像として、切実な本物として存在しているのだ。
1997年静岡県生まれ。東京造形大学 美術学科絵画専攻 在学。主なグループ展に「RED HOUSE」(2018/TALION GALLERY)、「ソラリスの酒場」(2018/the CAVE)、「シュトゥルムシュトゥルム「全滅する」」(2017/ゲンロン カオスラウンジ五反田アトリエ)など。
HP: http://sayachan0703.wixsite.com/aokabisaya
Twitter: https://twitter.com/aokabisaya
Instagram: https://www.instagram.com/aokabisaya
■九島優 Yu Kushima
写真やイラストの上に重ねられた商品名のように、あるいは書や水墨画に印された落款のように。
本来ビジュアルとして機能するためのものではない要素も全て含めたその『平面』に魅力を感じます。
意味や機能で分断可能な階層を、ひとつのグラフィックに統合してしまうことで、平面表現の新たな可能性を探りたいと思っています。
1991年生まれ。東北芸術工科大学 日本画コース卒。主な展示に、アートフェア「the artfair+plus-ultra 2016」(2016/SPIRAL)、個展「I know what you don’t know.」(2017/THE blank GALLERY)など。
HP: http://ksmyu.tumblr.com/
Twitter: https://twitter.com/ISLAND__9
Instagram: https://www.instagram.com/ksm_yu/
■松村咲希 Saki Matsumura
レイヤーと聞くと私は星空を連想する。見上げる夜空は結合されたレイヤーのように星々の間の距離はなくなり、空一面光の粒が並んでいる。もし宇宙飛行士にでもなれたら、それらの星がどんなに離れているか体感できるだろう。もしくは三角測量をするといいらしい。絵についてもまた、視覚が認識する事と物理的にある絵の構造が一致するとは限らない。だから私は描くときも見る時も、あっちへ行ったりこっちへ行ったりしてしまう。
京都造形芸術大学芸術研究科修士課程芸術専攻ペインティング領域を2017年修了。京都在住。アクリルペインティング、シルクスクリーン、ステンシルなどを組み合わせ、入り組んだレイヤーによる複雑な構造を持つ作品は、観る人の認識と実在のズレや歪みに気づかされる。個展「SEEING THINGS」(2018/DMO ARTS)、ほか 「ARTISTS’ FAIR KYOTO」や「ART OSAKA2018」などに出品。
HP: https://dmoarts.com/artists/saki-matsumura/
Instagram: https://www.instagram.com/sakimatsumura_/
■山下友樹 Yuki Yamashita
「公園」をテーマに制作している。
世界に存在する多層的なレイヤーはそれぞれに安心出来る場所を与えもするが、同時にそれを横断する勇気を奪う可能性を持つ。
願うならそれらが一つの場所の中で交差する様な瞬間が見たいと思う。
ただ、それは一つの遊びを共有する事をしない。
それは国籍や人種、社会階層、年齢、性別、嗜好を超えた人達が好き勝手に自身の遊びに興じる事が出来る様な「公園」の様な場所だと思っている。
自分はそれをキャンバスの中に描いてみたい。
1985年、大阪府生まれ・在住。主な展示に、個展「The Modern Age」(2010/exhibit Live &Moris gallery)、「URBAN HYMNS.」(2011/exhibit Live &Moris gallery)、「TELL THE STORY OF WORLD THAT I DON’T KNOW」(2015/ 海岸通ギャラリーCASO)、「From the Corner of the World」(2018/GALLERY wks.)、グループ展「若手推奨作家展」(2010)、「Selection Art Works」(2011/共にexhibit Live & Moris gallery)など。
HP: http://yukiyamashita.com/
Twitter: https://twitter.com/yukixxx1985
Instagram: https://www.instagram.com/yukixxx1985/
■山本直輝 Naoki Yamamoto
分断をテーマに作品を制作しています。モチーフとなっている線、黒、穴、モザイク、身体の切断、人間を囲う線、暴力などはその象徴です。分断を象徴する暴力について言えば、絵画も立体物を平面に置き換える行為でありそれ自体が暴力的な行為だと感じています。また、作品画面はレイヤーが互いに干渉しあいレイヤーの相互関係を歪める構造になっています。これはレイヤー的フラットの破壊であり、フラットの破壊は日常の分断です。
1982年生まれ。埼玉県在住。 主な展示に、個展「フラット11」(2011/HARMAS GALLERY)、「点滅する存在」(2010/一橋大学大学院国際企業戦略研究科)、「トーキョーワンダーウォール都庁展(受賞)」(2009/東京都庁)、グループ展「SHOWCASE SHOW」(2012/MEGUMI OGITA GALLERY)、「フランティックアンダーラインPART2」(2010/Frantic Gallery)、「トーキョーワンダーウォール」(2009/東京都現代美術館)など。
HP: https://930naoki.wixsite.com/mysite
Twitter: https://twitter.com/930naoki
■snAwk
現代社会においては膨大な情報やイメージが絶え間なく行き交い、重なり、埋もれ、蓄積する。更新を続けるSNSのタイムラインやストリートの壁には、曖昧な図像が脈略も無くただただ記録され、人々は無自覚に消費し続ける。
ランダムに抽出されるイメージや記号はコピーとサンプリングを重ねながら、意味や象徴性は輪郭を失い、抽象化される。そこに生じる「違和感」や「矛盾」に疑問を持つこと、見えないレイヤーに意識を廻らせる思考と想像力こそ、人間が持つ最大のツールだと信じたい。
Emily Carr University of Arts + Design(カナダ・バンクーバー) Visual Arts科卒。2007年に帰国。2012年、原宿にTHE blank GALLERYを立ち上げ、ディレクターを務める。本展の企画・キュレーションを担当。主な展示に、個展「ATTACK OF THE KILLER POP!!」(2010)、「THE NATIONWIDE FATAL DISASTER」(2011/共にGallery 360°)、「V」(2017/THE blank GALLERY)、グループ展「POP and STREET」(2014・2016/西武渋谷店美術画廊)など。
HP: https://snawk-stencil-art.wixsite.com/portfolio
Instagram: https://www.instagram.com/x.x.snawk.x.x/
Twitter: https://twitter.com/_snAwk
THE blank GALLERY アクセス
東京都渋谷区神宮前3-21-6 大崎ビル3F
http://www.the-blank-gallery.com/